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テオフィリンの血中濃度ガイド【副作用や中毒症状に注意が必要!】

<監修薬剤師 日髙宗明>
薬 

テオフィリンは古くからある気管支の薬で、喘息や気管支炎の治療に用いられています。血中濃度によっては重大な副作用や中毒症状を引き起こすこともあると言われているテオフィリン。

 

今回は、テオフィリンの血中濃度についてお話していきたいと思います。また、副作用や中毒症状についても見ていきましょう

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テオフィリンとは?

 

テオフィリンには、気管支拡張作用と、抗炎症作用があります。喘鳴、息切れ、呼吸困難などの気管支喘息や気管支炎の治療に用いられています。

 

喘息とは、アレルギーにより気管支の一部分もしくは全体に炎症が起こり、気管支内腔(気道)が狭くなってしまう病気です。気管支が狭くなってしまうと呼吸困難が起こります。

テオフィリンは、気管支の平滑筋を弛緩させる物質c-AMPを増加させたり、Caイオンの細胞内分布を調整するなどして、気管支内腔を拡張させます。同時に、気管支の炎症を抑える働きもあります。

 

気管支喘息についてはこちらを参考にして下さい。

【関連記事】
気管支喘息の4つの症状【意外な原因や治療法を解説!】

 

テオフィリンの副作用

 

過敏症

発疹、蕁麻疹、掻痒感などがあらわれることがあります。

 

精神神経系

神経過敏、不眠、頭痛、不安、めまい、しびれなどがあらわれることがあります。

 

循環器系

動悸、不整脈、頻脈などがあらわれることがあります。

 

消化器系

悪心、嘔吐、食欲不振、下痢、腹痛などがあらわれることがあります。

 

泌尿器系

蛋白尿、頻尿などがあらわれることがあります。

尿蛋白についてはこちらも参考にして下さい。

【関連記事】
尿蛋白の4つの原因!【この食事で改善しよう!】

 

代謝異常

血清尿酸値上昇、CK(CPK)上昇に注意が必要です。

 

肝機能

AST(GOT)・ALT(GPT)・ALP・LDH・γ-GTPが上昇することがあるため、注意が必要です。

 

血液系

貧血、好酸球増多などの症状があらわれることがあります。

 

そのほか、発汗、鼻出血、むくみ、倦怠感、関節痛、四肢痛、胸痛、低カリウム血症などにも注意が必要です。

また、コーヒー・紅茶・日本茶などに含まれるカフェインは副作用を増加する作用があるため、摂取を控えるようにしましょう。

たばこはテオフィリンの効果を弱めてしまいます。テオフィリンを使用する際は、使用を開始する前に禁煙するようにしましょう。

 

テオフィリンの血中濃度ついて

 

一般の薬剤には、治療に適切な治療域、薬物中毒症状を引き起こす中毒域があります。

そして治療域に入って、中毒域に入らない濃度の範囲を安全域と呼びます。

テオフィリンは適切に治療するための安全域が狭いため、治療域を越えてしまうと、すぐに中毒域に達してしまうと言われています。

 

テオフィリンは主に肝臓で代謝されますが、肝臓の機能による個人差がとても大きく年齢によっても変化があるため、同じ投与量でも血中濃度に差が出てしまいます。

 

一般の薬剤は体重を元に薬剤量を計算するのですが、テオフィリンの場合はこの方法では適切な量を知ることが難しいため、血中濃度を測定しながら最も適した投与量を決定して管理することが必要になります。

 

テオフィリンの至適血中濃度は、小児では5-15μg/mL、成人では10-20μg/mLです。中毒濃度は20μg/mL以上で、重症中毒濃度は急性が80-100μg/mL以上、慢性は40-60μg/mL以上とされています。

 

大量に投与すると、血中濃度が上昇し痙攣が起き、心拍数の増加、不整脈、痙攣などの症状があらわれ、場合によっては死に至ることもあるようです。適量投与であれば、重症の中毒が起こることはないと言われています。

 

肝臓の血液検査についてはこちらを参考にして下さい。

【関連記事】
肝臓の血液検査の数値や料金について【病院では何科に行くべき?】

 

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テオフィリンの注意すべき中毒症状

 

軽症の場合は、吐き気、嘔吐、腹痛、下痢、不安、興奮、動悸、高血糖などの症状があらわれます。

重症の場合は痙攣、不整脈、横紋筋融解症、意識障害、低血圧を起こすことがあります。以下に重篤な症状を挙げていきます。

 

テオフィリン中毒

テオフィリンの血中濃度が高すぎたために起こる痙攣です。テオフィリン関連痙攣とも呼ばれています。テオフィリンによる痙攣は止まりにくく、痙攣が治まっても後遺症が残ることがあるようです。

 

不整脈

不整脈も危険度が高い症状です。痙攣や不整脈が出た場合には、すぐに治療を行わなければなりません。

横紋筋融解症

脱力感、筋肉痛、CK(CPK)上昇等に注意が必要です。これらの症状があらわれた場合は投与を中止し、適切な処置を行わなければなりません。横紋筋融解症による急性腎不全の発症にも注意する必要があります。

 

意識障害

痙攣、せん妄、昏睡などの意識障害があらわれることがあります。

せん妄についてはこちらを参考にして下さい。

【関連記事】
せん妄の症状一覧!【3つの原因と治療方法!】

急性脳症

痙攣、意識障害などに続いて急性脳症に至ることがあります。

 

消化管出血

潰瘍などにより消化管出血があらわれることがあります。

 

赤芽球癆

赤芽球癆は高度の貧血を起こす疾患です。貧血が見られたら注意が必要です。

 

最後に

しるし   

薬には副作用がつきものですが、不安だからといって処方された薬を勝手にやめるのは危険です。処方されたとおりに服用するようにしましょう。

副作用と思われる症状が出た場合は、速やかに医師または薬剤師にご相談ください。薬の相互作用により、副作用が強く出ることもあります。

市販薬も含め服用中の薬がある場合は、必ず医師または薬剤師に報告するようにしましょう。

  当記事は医師、薬剤師などの専門家の監修を受けておりますが本サイトで提供する情報、文章等に関しては、主観的評価や時間経過による変化が含まれています。 そのため閲覧や情報収集は利用者ご自身の責任において行っていただくものとしその完全性、正確性、安全性等についていかなる保証も行いません。

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